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SPECIAL

2023.12.08

サクナ・メモワール役 石見舞菜香さん×ネリア・カニンガム役 ファイルーズあいさん×アマツ・カルラ役 島袋美由利 さんオフィシャルインタビュー到着!

3人がコマリ様のようにイキっている瞬間とは!

◆オーディションではわからなかった作品の全貌

――小説、コミカライズからアニメ化へと大きく展開している『ひきこまり吸血姫の悶々』。この作品に、みなさんはどんな面白さを感じていますか。

石見 「戦争がエンタメになっている」という独自の世界観が面白いなって思いました。シリアスな展開もある作品なんですけど、登場人物たちの会話がすごくコミカルでテンポ感がすごく良いんです。収録をしていても感じているんですが、コマリ様(テラコマリ・ガンデスブラッド)がガンガンツッコんでくれるんです。まわりのキャラクターもツッコミたくなるような性格ばかりなので、目が離せなくなるほど楽しい作品だなと思いました。
ファイルーズ 私はこの原作の絵の美しさに目を奪われました。イラストとコミカライズを担当されている、りいちゅ先生は女の子の可愛さや繊細さを丁寧に表現されていて、大胆さと憧れが融合していて、すごく美麗なイラストをお描きになるなって。イベントの現場でお会いすることができたんですが、憧れや尊敬の念を感じています。お話もギャグとシリアスのコントラストがすごく大きくて、それがまた作品の魅力になっているなと感じました。キャラクターたちが大真面目にやっていることが、視聴者にはバカバカしく見えたり、彼女たちの平和な日常が、物悲しいものに見えたり、そういう多面的な見え方がすごく特徴的で、素敵な作品だなと感じています。
島袋 私は原作を読む前に、オーディションの原稿でこの作品に触れたんですね。そうしたら……すごいセリフがいっぱいで。すさまじい戦争が起きているようなセリフも、ギャグっぽいセリフもあって。これは一体どういう作品なのだろうと戸惑いました。種族の名前や世界を彩る用語も独特で、もしかしたらすごく難しい作品なのかもと……。
ファイルーズ そうそう! 最初は難しかったよね。聞いたことない単語がセリフの中にいっぱい出てきて。とくにネリア(・カニンガム)はシリアスなセリフも多かったんです。オーディションのときは、スタッフの方から当日「この役もオーディションを受けてほしい」と(プロヘリヤ・)ズタズタスキー役も受けさせていただいたんです。その人のセリフも特徴的だったので、この作品は一体どんな内容何だろうとさらに謎が深まりました。
島袋 そうなんです。キャラクターごとにセリフの雰囲気が違って、キャラクターが立っている作品だなって思いました。オーディションの後に原作を読ませていただいたんですが、予想と違って、中身は全然難しく無くて。文章のテンポ感が素敵なのでするすると読むことができました。読者の誰一人置いていくことがない、優しい文章がとても新鮮でしたね。原作を読んでいるときは私なりのテンポで読んでいたんですが、アニメになったときは自分が想定していたよりもちょっと早いテンポだったので、アニメをご覧になった方々はより作品の中に入り込むことができるんだろうなとあらためて感じています。

――石見さんが演じるサクナのオーディションのセリフはどんな印象でしたか?

石見 うーん……。
ファイルーズ すごかったよ! ストーカーみたいなセリフ……。
石見 え、ええっと(笑)。まわりから見たらそういう意味に感じるかもしれないんですけど、サクナ自身は大真面目なので。コマリ様が大好きっていう気持ちで、私は至って真面目にやってました(笑)。

◆音響監督も絶賛の……あの声!?

――そんな石見さんが演じるサクナ・メモワールの印象をお聞かせください!

石見 最初は「逆さ月」のスパイということがバレてはいけなかったので、とにかくかわいいキャラクターとしてやっていました。スパイだから、たまに見せる、冷徹さや部下に対して冷たく指示を出すところはちょっと出さないといけない。かわいい一面で油断してもらえばと考えていました。サクナに共感できるところは……彼女の自分の悩みを打ち明ける勇気がないところです。サクナは家族を人質にとられているので、自分に道がないんです。そういうときにコマリ様に質問したら、サクナが考えたことがなかった答えを出してくれて。すごく嬉しいことだったんですけど、サクナにはその道を行く勇気がどうしても持てなかったんです。そういう明らかに最善の答えが目の前にあっても、自分にはできないから、その答え通りに進むことができない。そういうところは私も共感できるなって思っていました。
ファイルーズ 私は第9話以降のサクナしか知らないので、サクナのヤバいところしか見ていないんですよ(笑)。だから、サクナはコマリに興奮しまくっている、ヤバい人っていう印象です(笑)。
島袋 私も収録で石見さんとご一緒したときに、サクナさんのセリフが……「コマリさん」しかなくて(笑)。後にも先にも「コマリさん」なんだなって思いました。石見さんは「コマリ」の三文字にかわいさと大好きな思いを込めていらっしゃったので、サクナさんがどんな女の子なのか、オンエアを見るのが楽しみになりました。
石見 3文字に愛をこめました!
ファイルーズ 私はサクナが戦いに出るところもすごくカッコいいなと思っていて。(石見)舞菜香さんのお芝居はこれまで「守ってあげたくなるお芝居が魅力だな」と思っていたんですけど、今回のサクナは「ひとりで戦って、みんなを導く」といった一面もあるんです。そのシーンを見て、私はすごく可能性を感じて、舞菜香さんのお芝居がより好きになりました。
石見 嬉しいです!
ファイルーズ 張っている声がすごく良かった! あんな声も出せるんだって!!

――石見さんのお芝居の可能性が広がるキャラクターになりそうですね。

石見 ありがたいです。可能性ということでいうと第9話はキャラクターのみんなが水着を着て登場する、いわゆる水着回なんですけど。そのときの収録で音響監督さんから「良かったよ」って初めて言われたんです。ちょっとセクシーなシーンだったんですけど……(笑)。

――第9話のサクナは注目ですね! さて、ファイルーズさんが演じるネリア・カニンガムの印象をお聞かせください。

ファイルーズ ネリアは自分が思っていることは何でもはっきり言うタイプなんです。でも彼女には彼女なりの美学と矜持があって。人を傷つけることは言わない子なんです。だからこそ、イヤな子には見えないように私も声に圧をしっかりと乗せて、はっきりとセリフを伝えるように心がけていました。彼女は格式高い家庭で育った子なので、ちゃんと品が出るようにするのも意識していました。
石見 ネリアちゃんを見て、ファイちゃん(ファイルーズあい)と共通点があるのかなって思っていました。ネリアちゃんは自分が信じたものに真っ直ぐ向かっていくキャラクターじゃないですか。たとえ、それで自分が不利になっても、自分が周りにいろいろ言われたとしても、貫くものをちゃんと持っている。そういう芯の強さがファイちゃんと似ているところがあるなって。ファイちゃんがマイク前に立って、ネリアのセリフを発すると空気が一気に変わるんです。ネリアちゃんに引き付けられるような感じが、ファイちゃんの声からも感じていました。
ファイルーズ ありがとう!
島袋 私がファイルーズさんと収録でごいっしょしたのは大分後だったんですけど、別のシーンの収録のときにタイミングよく、ネリアの手紙のシーンを見ることができたんです。その手紙のお芝居がすごく良かったんです。芯の強さを表現しながらも、最後にギャップを感じるような表現をされていて……。
ファイルーズ 私のキャラクター(ネリア)はしっかり者なので、あまり吹っ切れたお芝居がしにくいなって思っていたんです。でも、なるべくいろいろとやってみようと思って、細かいところにこだわっていたんですね。そういう細かいところに気づいてもらえてすごく嬉しかったです。ありがとう。

――ファイルーズさんが演じるネリアの手紙の朗読も聞き逃せないですね。そして、島袋さんが演じるアマツ・カルラの印象はいかがでしょうか。

島袋 カルラは平和主義な子なので、彼女の人間性のようなものをセリフに乗せられたらと思っていました。ただ今回のアニメで描かれるところでは、どちらかというと……ポンコツ……。
ファイルーズ あ、言っちゃった(笑)
島袋 ちょっと足りてないところがある……良い意味で! 足りないところのある子なので、わりとオチを担当するようなところが多かったかなと思います。頭空っぽと言われるところも、彼女はふざけていっているわけでなくて、大真面目なんです。だから、ギャグの足し引きがすごく難しいなと思いましたね。あまりやりすぎるとサムい感じになっちゃうし、あまり真面目過ぎるとギャグにならないし。いかに「足りてないか」を自然にやるかを追求していました。
石見 すごくしっかりしているところと、ポンコツ具合がにじむところをしっかりと演じ分けられていて。そのギャップが面白いなと思っていました。私は島袋さんとご一緒することが多いので、香盤表に島袋さんの名前があるだけでドキッとしてました(笑)。
ファイルーズ 私は個人的に、カルラの声が好きで。すごく綺麗な声をしているなって思っていました。その声が紡ぐ言葉には説得力があって。最初は「ちょっと頭が良い人が来たかな」と思っていたら、そこからのポンコツ加減が最高で。そのギャップが良かったです。ポンコツな一面が出てくるときにだんだん声が高くなったり、落ち着きがなくなったりという細かなグラデーションがすごく素敵なんです。どこの音(セリフの声)をとってもカルラなので、すごいなと思います。

◆コマリ様に負けない、それぞれのイキり体験

――みなさんはコマリとヴィルヘイズのコンビにどんな魅力を感じていましたか。

石見 コマリ様とヴィルはそれぞれ相手だけにしか見せない表情があるんです。それがすごく良いなと思っていました。とくにヴィルの視点から見る、コマリ様はいろいろな表情があってすごくかわいいんです。あと、ヴィルとコマリ様が掛け合いは面白いです。ヴィルは淡々とした性格ですけど、いきなりとんでもないことを言ったりするんです。鈴代紗弓ちゃん(ヴィルヘイズ役)のお芝居に、楠木(ともり)さんがお芝居で応えるみたいな、ふたりの信頼関係がそのままキャラクターの関係に重なっているようで、収録のときはおふたりもすごく楽しそうにはっちゃけて演じていらっしゃいました。私も収録をご一緒していて、すごく楽しかったです。
ファイルーズ 私はヴィルみたいなキャラクターがすごく好きなんです。一途で愛が強くて、嫉妬深いキャラクターが大好きなんです。だから、ヴィルが嫉妬するシーンがすごく魅力的に見えました。ネリアも間接的に、ヴィルを嫉妬させてしまうシーンがあるんですが、すごく楽しかったです。ネリアは別に意地悪な気持ちでやっていたわけではなくて、自然とヴィルの気持ちを逆なでしちゃうところがあったんですが、私自身はヴィルの嫉妬している姿を見たいので、ついノリノリでいたずら心を持ちながら演じていました。そんな嫉妬心を抱かせるコマリ姫とヴィルがすごく魅力的だなと思いました。
島袋 おふたりともすごくハイテンポな掛け合いをされているので、収録のときは本当に大変だろうと思うんですけど。ヴィルのボケにコマリ様がツッコむところがすごく活き活きしている感じがあって。そういうときのコマリ様の表情は、ヴィルにしか見せない顔なんだろうなと思うと、素敵だなと感じましたね。ヴィルはヘンタイチックなところがあるんですけど、鼻血を出しても取り乱しても、ヴィルはヴィルらしさを保ちつつ、尊敬と信頼と敬愛を込めてコマリ様に愛を伝える感じがすごくかわいいと思います。ふたりの関係性がすごく良いんだろうなっています。

――この作品は本来ひきこもりだったコマリ様が将軍や強敵を相手にイキるところがひとつのポイントだったりします。みなさんのイキってしまった出来事や経験があればお聞かせください。

石見 私……何があってもつい、「大丈夫です!」って言っちゃうんです。
一同 おお~。
石見 たとえば、長時間の収録でワード数がすごく多いときに、収録中にスタッフの方から「休憩を取りますか?」とお声がけをいただくときがあるんです。そういうときに必ず「大丈夫です」と言って、休憩を取らずに収録を進めてもらっちゃうんです。長い収録をしていると頭も疲れちゃうし、口も疲れて、舌が回りにくくなって、言い直しが増えてしまうので絶対に休憩を取りたいんですけど(笑)。言い直しが増えちゃうと、自分にも相手にも良くないんだろうなと思いつつも、反射的につい「大丈夫です」って言っちゃうんです。
ファイルーズ じゃあ、私が困ったときは、まなぴ(石見舞菜香)に。
島袋 私はあまりイキらないほうだと思うんですけど……両親とか親族の前では、絶対に泣きたくないし、なんなら笑いたくもないってところがあります。
一同 ご両親にイキってる……。
島袋 そうなんです。たぶん、両親の前では思春期のままでいたいんでしょうね。両親から何か聞かれても「問題ないよ」ってつい言っちゃうんです。
ファイルーズ 私は……ちょっと前に「筋トレ」で注目を集めていた時期がありまして。筋トレをしているところをメディアに披露することがあったんです。普段、筋トレをするときはフォームが崩れないように重すぎないダンベルを使っているんです。でも、撮影のときはつい重すぎるダンベルを使って、アームカールをしちゃうんですよね。
一同 ああ~。
ファイルーズ 「筋トレ」イキりをしていました!

――本作は群像劇の一面があり、たくさんの国々や種族のキャラクターが登場します。みなさんが気になるキャラクター、アニメで見るのが楽しみなキャラクターをお聞かせください。

石見 ラップをするメラコンシーさんがとびきり面白いなって感じました。クセになっちゃいそうです。あと、何度も死んじゃうヨハン・ヘルダースさん。ああいう面白味があるキャラクターがたくさんいるので、目が離せない作品だなと思います。
ファイルーズ 原作を読まれている方はきっと共感してくれると思うんですけど、アニメ版でこれからのお楽しみとしてはパスカル・レインズワースです。キャストの方が最高のお芝居をしてくださっています。プライドが高くて、大口をたたきまくるところが最高で。私は目がパキッとしているキャラが好きなのでたまらなかったです。そのレインズワースがネリアとどう絡んでいくかも見どころになると思いますし、ネリアにとっても成長のきっかけになる重要なキャラクターなので、ぜひ注目していただきたいです。
島袋 私はガートルードさんや(峰永)こはるのようにご主人の横に控える方々がすごく好きです。主人のことが大好きで、それでいて主人に担われている関係性がすごく魅力的ですよね。それぞれの強さやカッコ良さを見せるシーンもあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

――アニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』のオンエアもこれからクライマックスへと向かっていきます。みなさんから今後の見どころをお聞かせください。

島袋 これからさらにキャラクターがどんどん増えていきます。ズタズタスキーさんをはじめ、みんな一筋縄ではいかない子ばかりです。どのキャラクターも血が通っていて、個性が強いので、コマリ様とヴィルの関係のみならず、キャラクターたちの行方に注目していただきたいです。キャストのみなさん、スタッフのみなさんが心血を注いで作り上げたキャラクターたちをぜひ楽しんでもらえたらと思います。
ファイルーズ ネリアがなぜコマリにガンガンと突っかかっていくのか。ネリアの過去がどんなものか。いろいろと描かれていきます。これまで見ることができなかったキャラクターのいろいろな表情を見られますので、そこをぜひ楽しみにしつつご覧になっていただけたらと思います。コマリ様がお好きなコマリン親衛隊のみなさんも、ネリアを応援するネリア親衛隊になってもらえれば嬉しいです。
石見 これから登場するキャラクターはとても濃いし、ここから始まるストーリーもとても濃いものになっています。キャラクターたちの成長や変化を楽しみにしてもらえれば嬉しいです。この作品は悪い感じで出てきたキャラクターも、それぞれの事情を知ると憎めないところがあるんです。いろいろなキャラクターに感情移入することができると思いますので、自分が好きなキャラクターを見つけて、最後まで見守っていただけると嬉しいです。

©小林湖底・SBクリエイティブ/ひきこまり製作委員会